#ベジェ曲線AC2015 〜ラブストーリーは突然に〜

Advent Calender 2015 Bezier Curve -Day.1-

 今日も私は愛しいあなたを見つめながら優しくハンドルを操作するの。出会ってから12年という歳月が流れたけれど、あなたへの愛情は1pxも変わってない。いえ、変わるどころか結婚を決意したくらいだもの。
 なにせこんな片田舎で、私の運命を変える出会いがあるなんて夢にも思わなかったんだから……。

あなたと出会った日。

 それは2004年の冬のことだったわ。
 いつもどおりに通学した私は筆記用具とノートを持って着席する。しばらくすると先生がやってきて授業が始まった。 
  
 「では始めます」
 
 Mac実習は私が一番好きな科目。毎週この時間が楽しみで仕方ないし、成績も良かったのよ。

「今日はペンツールを紹介するよ、この機能はIllustratorの大きな特徴なんだ。キーボードのPを押してペンツールに切り替え、キャンバスのどこかをクリック&ドラッグしてみて?」

 言われた通りに手を動かすと、好きなイラストレーターの人がこのツールで絵を描いていることがすぐにわかったの。あの線やエッジはPhotoshopじゃないわね……とは思っていたけれどまさかIllustratorだったなんて!

「このペンツールによって描画される線のことを『ベジェ曲線』というよ、覚えてね」

 ……ベジェ曲線、ねえ。
 
 いかにもとっつきにくそうな名前じゃないの。操作してみるとまるで思い通りにならないし満足に丸も描けやしない。おまけに今日の授業では具体的な使い方も説明されなかったわ。
 私は皮肉を込めてそんなベジェ曲線を『彼』と呼ぶことにしたの。偏屈で気難し屋の彼となれあう日はきっと一生来ないでしょうね、と信じて疑わなかったくらいよ!

その存在に心が揺らぐ日々。

 でも……でもね。
 不思議なことに寝ても覚めても頭の中は彼のことでいっぱいになっていたわ。打っても打っても手ごたえのないアンカーポイント。自由に触れることさえ許されないハンドル。決して自分が目にすることはない、美しい曲線を想像してはため息をつく毎日。
 どうしたら彼に近づけるだろう、振り向いてくれるだろう、理解できるだろう? そんなことばかり考えて日々がいたずらに過ぎていったの。
 
「もしかして……これって……」

 嫌な予感がした。
 この、胸の奥がつん、と痛む感覚には覚えがあって。
 
「違う、これは違う……きっと何かのまちがいよ!」
 
 自分を安心させようと言い聞かせるほどにその気持ちは膨れ上がっていったのよ……。自分では制御できない感情でとっても恐かったわ。

先生が教えてくれた恋の魔法。

 一人で悩んでも仕方ない、と思った私は先生に相談してみることにしたの。講義が終わった直後に先生をつかまえて、勇気をふりしぼり話を切り出したわ。
 
「先生……あの……彼をふりむかせるにはどうしたらいいんでしょうか……?」

 にごさず、遠回りせず、ストレートな言葉で尋ねてみる。彼に近づきたい、彼を理解したい、その一心で選んだ言葉だった。
 
「みーぬ君……きみは彼に恋しているんだね?」
「恋……?!」

 目をそむけていたものに先生が名前をつけてくれたことで妙に安心したの。だめよ……だめ、だめ……と拒み続けていた気持ちはやっぱり恋心だったんだわ……!
 
「そうかそうか……ならば僕が恋の魔法を教えてあげよう」
「魔法、ですか……?」
「そう、彼に近づくための魔法があるんだ」
「すごく知りたいです……教えて下さい先生!」
「ああ。そのかわり、逃げずに彼とむきあうんだよ? 約束できるね?」
「はい!私、逃げたりしません」

 先生は笑顔でうなずくと手元の付箋に3つの文字を書いてみせた。それは、l、t、A、の3文字。

「おそらくきみが毎日目にしている3文字だ。さあ、何だかわかるかい?」
「l、t、A……。Aが大文字でt、l……あっ!」
「これが恋の魔法さ。帰ってじっくり試してみるといい」

 お礼もそこそこに、私は先生から付箋を受け取ると教室を飛び出し、大急ぎで帰宅したの。

想いが通じあった日。

 家に着いてさっそくIllustratorとペンツールをたちあげる私。アンカーポイントを2つ打ってハンドルを伸ばし、3つめのポイントを少し離れた場所に打ったわ。そこから伸びるハンドルで描かれるのはもちろん、私の思い通りじゃない曲線。

「……恋の魔法の出番だわ……l、t、A、つまりAltキー!」

 これでやっと彼に気持ちを伝えられる! そう思うと私の鼓動は緊張と期待で高鳴った。

「あなたのこと、もっともっと知りたいのよ……だからお願い、私のことを見て、私の想いを聞いて!」

 震える指先でそっとAltキーを押すと、それまでペン先アイコンだったカーソルが「∧」に変わる。そしてこのあと何をすればいいかはすぐにわかった。キーを押したまま彼のハンドルをドラッグするの!
 
「あっ……」

 それはずっと恋焦がれていた瞬間だった。『思い通りの曲線を目にすることはきっと一生ないのよ……』と決めつけていたのに。
今、Illustratorのキャンバスに描かれているのは紛れもなく私が望んだとおりの曲線。

「ねえ……好き、好きよ……」

 気づけば私の目から大粒の涙がぼろぼろとこぼれ落ちていたわ。だって……本当に本当に嬉しかったんだもの……。

まとめ。

こんにちは、ベジェ曲線アドベントカレンダー1日目担当のナツミーヌです!いかがでしたでしょうか、「あ、この人頭おかしい」と思っていただけたら本望ですw
上記の頭のおかしい文章を要約すると、
 ・最初はまったく理解できなかった
 ・先生からアンカーポイントの切り替え(Altキーを押しながらドラッグ)を教えてもらう
 ・これを覚えたら急に思い通りのベジェ曲線が引けるようになった
 
 …ということです。なんとか操れるようになってからはひたすらイラストを描きまくったり、パス抜きでベジェ曲線の精度を上げていきました。
最初は簡素だったナツミーヌアイコンも、4代目の現在はこのとおり!

natsumiineアイコン初代

natsumiineアイコン初代


natsumiineアイコン2代目

natsumiineアイコン2代目


natsumiineアイコン3代目

natsumiineアイコン3代目


natsumiineアイコン4代目

natsumiineアイコン4代目

ベジェ曲線は一見とっつきにくいですが、コツをつかんでしまうと結婚したくなるほど愛しいツールに変わります。次回は習得に役立つツールや記事をご紹介したいと思います!
 
明日12/2日の担当はまさきーぬ氏です、よろしくお願いしますーぬ!

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